2014年05月14日 信州味噌
信州新奈川温泉鳥屋沢の味噌造りの紹介です。
当宿でお出ししている味噌は自家製です。毎年、または2年に一度、木曽の親戚の家で仕込みます。もちろん手作りでこれは結構な重労働なんですよ。
前日から水に浸しておいた大豆を大釜で炊きます。
炊いた大豆をミンサーにかけてつぶし手でも練ります。かなり熱いです。昔はミンサーなどなく草鞋靴(わらじぐつ)を履いて踏んでいたようです。長靴は熱くなってしまうので草鞋靴だとか。先人の知恵は素晴らしいですね。
麹を振りかけ味噌玉を作ります。美味しい味や風味を出すのにとても大切な工程です。
味噌玉完成。地域によって丸かったり四角かったりしますがこれを一定期間寝かせます。
寝かす時間は月によって変わりますが今回は5月初旬でしたので約一週間寝かせました。
一週間後の味噌玉です。白い黴のようなものはチロシンといいアミノ酸の結晶らしいです。元気に醗酵が進んでいます。
味噌玉をつぶし小粒にしていく「味噌掻き」この工程が一番大変です。高さが合ってないと腰に来ます。今回は、ばあさんたちに高さを合わせてあるので結構辛いです。
分量の塩と麹を混ぜ合わせひたすら練りつぶしていきます。
この汁何かわかりますか?最初の行程、大豆の煮汁に塩を混ぜたものです。叔父や叔母たちはこれを「アメ」と呼んでいます。通常は練りつぶした味噌に水も含ませるのですが水の代わりにこの「アメ」を入れます。大豆の煮汁ですので普通の水より旨味が増すのは当然に思えてきました。
味噌掻きが終了したら樽に入れます。
樽にいっぱいになったら布巾を被せ重石を乗せます。時間経過とともに味噌から水分が出てきますので石の重さを軽くしていきます。秋頃に天地返し(掻き混ぜて入れかえる作業)をすることで一層美味しくなります。味噌掻きからここまでの行程を今回は15回繰り返しました(親戚分含め大豆の量で六斗)当然ながら汗ダクダク、腰ガクガク、握力減少、体中が悲鳴を上げました。終了後のビールはさぞかし旨いのでしょうが今回は運転手。ビールの代わり涙を飲んで木曽から奈川に帰ってきました。
疲れた体に親戚の家に咲いていた山芍薬の花が癒やしてくれました。
さて、この味噌はすぐに食べられないんですね。発酵が進み美味しく食べられるのは2年後です。
朝起きて台所に入ると香りがフワッと広がる味噌汁。日本伝統の風味豊かな味噌はなんと言っても手作りだと感じています。今年仕込んだ味噌も必ず美味しくなります。2年後が楽しみです。